彼岸花の妖精という素晴らしい相棒(健人視点)

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予想通り、公園にたくさん彼岸花を見つける事が出来た。 「彼岸花って持って帰ると、火事になるって話知ってる?」 「マジ⁉︎ 超怖いんだがっ」 「小さな頃、持って帰ったらばあちゃんに怒られたの今急に思い出してさー」 「でも、確かに不気味っていうか不吉なイメージあるよねっ」 「ね、なんかホラーチックかもっ。とりま、写真撮るけどっ」 「撮るんかい!」 「だって今日何も投稿してないしー! 何も載せないよりはね」 彼岸花の写真を撮りながら女子高生達が話をしていた。 その横で幼稚園児くらいの小さな男の子が座り込んで彼岸花を見つめていた。 彼岸花のような燃えるような赤い髪……。 今の子供って派手なのだなと驚いていると、突然彼が泣き出した。 女子高生達は写真を撮ると満足したのかその場を離れてしまい、今公園には彼と自分しかいなかった。 「あの……大丈夫? 君、お父さんかお母さんは?」 恐る恐る彼に声をかけてみる。 僕が声をかけると、彼は目を見開いた。 小さな子供はあまり得意ではなかった。 だけど、一人で不安げな表情を浮かべている小さな子供を放っておけなかった。 彼は近くに落ちていた木の棒を拾い、×と地面に描いた。 「名前は分かる?」 もう一度質問をすると、彼は彼岸花の花を指さした。 「彼岸花? もしかしてそれが名前?」 彼は大きく頷いた。 僕の声は届いているようなのでただ声が発せないだけなようだ。 「これ、良かったら使って」 彼岸花の花をスケッチしようと手に持っていたスケッチブックと鉛筆を僕は渡した。 すると、彼はすぐさま何かを描き始めた。 彼岸花の花にハートにはてなマークを彼は横並びに描いた。 羅列された三つのそれらは彼が言いたいメッセージらしい。 しかも小さな子が描く絵にしてはやたら上手かった。 僕が幼稚園の頃に描いた絵はクレヨンでぐちゃぐちゃに塗りまくった訳の分からない絵ばかりだったのに彼の絵は何を描いたかすぐ認識できるちゃんとした絵だった。 「彼岸花は好きかって聞いてる?」 彼は大きく頷いた。 「好きだよ。とっても綺麗だし、今もスケッチしようとしてここに来たんだ。悪いイメージの人もいるみたいだけど、僕は花では一番好きな方かな」 すると、彼の瞳が輝き出した。
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