8人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
「おーい、学年集会やるから3年は体育館集合」
話していると教室のドアから、櫻井先生が顔をのぞかせた。
「あっ、ねぇねぇ櫻井ー!見て見て、あかりの髪型かわいくない!?私の力作!」
「ちょっ、さるるん……」
さるるん、今はやめて!櫻井先生呼ばないで!
気まずい、けどくわしくは言えない。
もどかしい気持ちでいると、櫻井先生はさるるんの声にこちらを見た。
あの日以来、一週間以上ぶりに目が合う。
気まずい、だけど目が離せず硬直していると、先生は驚いたように目を見開いた。
「……早くしろ、東先生たちが待ってる」
かと思えばすぐ目を逸らし、そっけなく廊下へ戻って行ってしまった。
「なんなの、あれ。つまんなーい」
「いやいや、あそこで櫻井が乗ってくれたほうがびっくりだって」
「それもそっか!」
……今の反応、なんか違和感。
気まずいとかじゃなく、驚いてた。
私見て驚くって、なんで?
不思議に思いながら、私たちも体育館へ行こうと廊下に出た。
クラスのみんなでぞろぞろと廊下を歩いていると、階段の手前には成田先生が歩いていた。
「おっ、3年生今から学年集会ー?」
「あ、成田〜!キャンプくるんでしょー?よろしくー」
「おうよろしくー」
相変わらず誰にでも気楽に話すさるるんに、成田先生も軽く返す。
そしてなにげなく私のほうへ目を向けた……と思うと、成田先生も私を見て驚いたように足を止めた。
最初のコメントを投稿しよう!