逆光

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「成田先生?」 「あ……いや、日野ちゃんか。大人っぽい髪型してるから、誰かと思った」 「でしょ?さっき櫻井にも見せたんだけど無反応でさー」 成田先生も、櫻井先生と同じ反応だ。 なんでふたりとも……? ますます不思議だ。しかも成田先生はなにかを言いたそうに、でも飲み込んでいる様子だ。 そんな先生たちの様子が気になりながらも、体育館へ向かおうと階段を下ろうとした、その時だった。 寝不足のせいか目眩がして、ぐらっと視界が揺れた。 重力がどうなっているかもわからず、地面がどこにあるかもわからない。 あ、やばい。 そう思った時には階段を踏み外し、体が宙に浮くのを感じた。 「あかり!?」 瞳の声が聞こえたときには体はもう床に向かって落ちていた。 段差をいくつか転がりにぶい痛みを感じながら、段々と意識が遠くなっていく。 痛い、けど叫ぶ気力もわかない。 なんだかとっても眠いーー……。 「日野!!おいっ……日野!!」 どうしてか、悲鳴のような声で私を呼ぶ櫻井先生の声が聞こえた気がした。   
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