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その言葉も悲しい表情も、意味がわからない。
だけどひとつだけわかる。
私は彼にとって生徒であり、彼を悲しませる存在。
この恋には、一縷の望みもないということ。
白い掛け布団に、ぽたっとしみがひとつにじむ。
こんなに好きなのに、可能性はない。
改めてもう一度告白することすら、できない。
あふれる涙を止められず、ベッドの上ひとり泣き続けることしかできない。
「日野ちゃーん、お待たせ。成田先生が病院まで連れて行く、よー……」
続いて保健室に入ってきた成田先生は、涙に濡れた私を見て、なにかあったのを察したように一種黙る。
「……よしよし。病院行こっか」
そして優しい言葉とともに、私の頭をポンポンと撫でてくれた。
それから成田先生の運転で近くの総合病院へ行くと、簡単な検査を受けた。
結果肩の打ち身以外はなにも異常なく、問題なく診察を終えた。
「お疲れ」
病院内のラウンジで席について待っていると、会計を終えた成田先生が戻ってきた。
先生はその手に持ったいちごミルクのパックジュースを、私に手渡す。
「はい、喉渇いたでしょ」
「わーい、成田先生ありがとう」
遠慮なくそれを受け取り、ストローを刺して口に含んだ。
その姿を見て成田先生は微笑ましく笑うと、私に向き合う形で席に着く。
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