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「成田先生も、その葉月さんのこと知ってるんですか?」
「うん。ほら、俺も高校同じだったからさ。よく3人で過ごしたよ」
思い出すように成田先生はスマホを取り出し、画面をスッスッと操作すると私に見せた。
そこに表示されていたのは、今より若い顔つきの成田先生と櫻井先生……そして、ひとりの女性だ。
彼女は小柄な体にふわふわな茶色いロングヘアをハーフアップに束ねた、かわいらしい雰囲気の人。
眩しいほどの笑顔を向け、櫻井先生に腕を組んでいる。
かわいらしい人……あれ、でもうっすらとどこか見た覚えがある気がするような、しないような。
画面を見たまま考え込む私に、成田先生は心を見透かすように笑う。
「日野ちゃん、彼女にちょっと似てるんだよね」
「え?私ですか?」
「うん、髪型とか雰囲気とか。
今朝大人っぽい髪型してたじゃない?あの姿とかすごい似てたから、一至も驚いたんじゃないかな」
今朝の……といえば、さるるんがやってくれたハーフアップの髪型のことだ。
そういえばあのとき、櫻井先生も成田先生も驚いていた。
あれは私に葉月さんの面影が見えていたからなんだ。
「どうしてふたりは別れちゃったんですか?」
確信を突いた問いかけに、成田先生はそれまでの笑顔をなくし、寂しげに目を伏せた。
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