きみは太陽

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「あかりはなにかあっても言わないことあるから。たまにちょっと心配になるよ」 それはふたりが普段から私を気にかけてくれているということだ。 思えば、ふたりにも家のこともなにも話せていない。 だけどバイトばかりしていることや三者面談などで親を一切見ないこと、そもそも家族の話をしないあたりでなにか察しているのかもしれない。 それでも私から話さない限り触れない、というふたりなりのルールを感じた。 「ごめんね、ふたりとも。心配かけて」 申し訳ない気持ちと嬉しい気持ちが半々で、遠慮がちに笑う。 そんな私を挟むように、ふたりはぎゅーっと抱きついた。 「よし!じゃあ夏休み中にうちでパジャマパーティ決定! ひと晩中喋って、ゲームして、お菓子食べよ!」 「夜中にお菓子!最高!ねっあかり!」 私を励ますように言ってくれるふたりに、私も笑ってうなずいた。 それから、午後は近くを散策したり自由時間に少し昼寝をしたりと楽しく過ごし、夕方からは夕飯のカレーづくりをした。 そんなふうに楽しく過ごしたのち、その時間はやってきた。 「はい、じゃあこれからキャンプ合宿恒例の肝試し大会を始めまーす」 キャンプ場の端の深い森の入り口で、成田先生が言うと皆は一斉に盛り上がった。 そう、このキャンプ合宿一番の目玉はこの肝試し大会だ。 3人1組で森へ入り、数十メートル先にある祠からお札をとってくるというもの。 ちなみに祠もお札も学校側が作ったもので、距離もそんなに大したことはない。 けれど道のりがくねくねしていて迷路のようなことと、とにかく暗く雰囲気が怖いこと。 そして数名の生徒がお化け役をしており、ルートのどこかで驚かせてくることがある。 それらの要素がほどよく怖いのだ。   
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