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「楽しみだね!瞳、あかり!」
さるるんは目を輝かせてこちらへ同意を求めた。
けれど、私はガタガタと震えて声が出ない。
「ってあれ、あかり怖いのダメなんだっけ?」
「そうだよ。1年のとき怖すぎて動けなくなって私と猿田が担いで、2年のときはお化け役に回ったけど怖すぎて待機してられなくて逃げ出して……毎回大変じゃん」
これまでの肝試し大会での思い出を語る瞳に、さるるんは「そういえば」と懐かしむ。
そう。私は幽霊や怖い話など、ホラーの類が全般的に苦手だ。
肝試し、と聞いただけで足がガクガクと震えてしまう。
「どうするあかり、今年はやめとく?」
「う、ううん!大丈夫!さすがに3年目だし、もう慣れたよ!」
私がやめたらふたりもきっとやめると言うだろう。
それは申し訳ないので平気なフリをして参加者の列に並んだ。
けれどその間も冷や汗は止まらず、手も足も声も震えっぱなしだった。
「じゃあ次のチーム、どうぞー」
ほどなくして順番が回ってきた。
成田先生に送り出された私たちは、3人で森の中を歩き始めた。
真っ暗な中を懐中電灯の灯りひとつを頼りに歩いて行く。
もちろん私は、右手でさるるんの服の裾を、左手で瞳の服の裾を掴みふたりに守られるようにして歩いていた。
「もう、あかりビビりすぎだって」
「そうそう。こんな子供騙しな肝試し……」
ふたりが笑いながら言いかけた、その時だった。
背後からガサッと音がしたかと思えば、そこにはランドセルを背負った子供がひとりいた。
この時間に、こんな場所に子供がひとり。
幽霊役?いやでも生徒に子供なんていないよね?
じゃあこれはもしかして、本物……!?
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