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「ぎっ……ぎゃー!!!」
「いやぁー!!」
頭の中で同じ結論に至ったのだろう。
それまで余裕そうだったふたりも悲鳴をあげ、一目散に駆け出した。
ところが出遅れた私はふたりから手を離してしまい、その場にひとり置き去りとなる。
ふたりとも逃げ足早すぎ……!
唖然と立ち尽くしていると、背後からガサガサッと音がする。
「ひっ!」
追いかけてきた!?
ひとりになったことでより増す恐怖心から、私も咄嗟に逃げ出した。
震える足を必死に動かして、真っ暗な森の中をひたすら駆け抜けていく。
パニックになりながらしばらく走り、息があがってきたところで足を止めた。
ここまでくれば、大丈夫かな……。
「あれ……ところでここ、どこ?」
あたりを見渡すと、道からはすっかり外れ周囲は木々に囲まれている。
自分がどこから来たのか、どこに戻るべきなのかすらわからない。
おまけに懐中電灯は瞳たちが持っているので、明かりひとつなく真っ暗だ。
やばい、私……遭難した……!?
どうしよう、スマホも持ってないし……。
焦っていると、頭上の木が風でザワザワと揺れる。
その音や影もまた不気味で、私は耳を塞ぎその場でうずくまった。
怖い。
暗いしひとりだし、戻り方もわからない。足がすくんで動けない。
誰か助けてほしいけど、こんなところまで誰かが来てくれるとは思えない。
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