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「どうしよう……」
そのままどれくらいうずくまり続けていただろう。
突然周囲の茂みからガサガサっと音がした。
木々をかき分け、地面を踏むような音はこちらへ徐々に近づいてくる。
やばい、なにか近づいてくる。
幽霊?いやここまで音を立てるとなれば人?
でもこんな時間にこんなところ歩いてる人ってなに?
どちらにせよ怖すぎる。
逃げなきゃ、でも下手に動かないほうがいい?
そもそも足がすくんで動けない……!
そうしている間にも足音は近づき、私は息を殺してうずくまるしかできない。
すると何者かがこちらへ駆け寄り、正面から明かりを向けた。
見つかった、終わったーー!
覚悟を決めた瞬間、恐る恐る目を開けるとそこにいたのは懐中電灯を手にした……成田先生だった。
「はぁー!よかった!日野ちゃんいたー!」
息を切らせた先生は私を見て、安心したように声を上げる。
そしてすぐスマホを取り出すと、どこかへ電話をかけて私を見つけたことを報告した。
その口ぶりから相手は櫻井先生だろう。
「成田先生?なんで……」
「西川さんたちが戻ってきて、日野ちゃんとはぐれたって大騒ぎでさ。
しばらく待ってたけどこないから、俺が探しに来たんだよ」
そういうことだったんだ。
それまで張り詰めていた緊張の糸が切れ、脱力したように尻餅をつく。
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