きみは太陽

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「だから、きみが葉月ちゃんの代わりになる必要なんてないよ。 日野ちゃんはそのままでいい」 雲間から差し込む月明かりが、私たちを白く照らす。 懐中電灯の明かりもいらないほどの光の中、成田先生はそっと目を細めて笑う。 「俺は友達としてさ、一至に幸せになってほしいんだ。 葉月ちゃんのことを忘れられなくても、心に残しながらでも、別の誰かと大切に想いあってもいいと思う」 それは、願うような切実な思い。 「だから日野ちゃんも、本気で好きなら向き合ってあげてほしい。 つらいかもしれない。悲しいかもしれないけど、拒まれても何度でもぶつかってあげてほしい」 拒まれても、『つらい』と言われてしまっても。 何度でも好きだと伝える。 それはきっと果てしないことで、その度にこの胸が痛み傷つくかもしれない。 だけど繰り返すことで、閉じたままの彼の心の蓋が開くのなら。 私にできることは、それしかないのかもしれないと思った。 それから私は成田先生とともに、皆が待つ森の入口へと戻った。 皆はすっかり肝試しを終えていて、瞳とさるるんは泣きながら私を抱きしめてくれた。 ふたりを笑って受け止めながらチラッと見ると、櫻井先生はこちらには背中を向けたまま。 だけどそれまでの成田先生との会話のおかげか、その背中を冷たくも寂しくも感じなかった。   
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