きみは太陽

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翌朝、目を覚ますと時刻はまだ朝の5時だった。 いつもなら絶対にまだ起きていない時間。 だけどいつもと場所が違うからか、目が冴えてしまい二度寝もできなかった。 ちょっと近くを散策しようかな。 メイクもせず、軽く髪だけを整えてまだ皆が眠るテントを出た。 夏の明け方特有の、明るく涼しい澄んだ空気に心が洗われるようだ。 そういえば近くに神社があるって言ってたっけ。 せっかくだし、そこまで散歩してみようかな。 朝露に濡れた草を踏み、キャンプ場の敷地から少し外れたところにある神社へと向かった。 神社の看板を見つけて進んで行くと、そこには細長い石段がある。 そこを登った先に鳥居があるのだろう、と私は一歩ずつ登って行く。 すると上から誰かが下りてくるのが見えた。 神社の人かな、そう思いながら見上げた。 するとそこには、ジャージ姿の櫻井先生がこちらを見ている。 「櫻井、先生……?」 「日野……」 お互い、こんな時間にこんなところで会うとは思わず驚きが隠せない。 足を止めて、ふたりの間には10段近くの距離ができた。 そこで私ははっと思い出し両手で顔を覆った。 「み、見ないで!!」 「は?」 「私今……すっぴんだから眉毛ない!!」 朝早くだからと油断していた。 眉毛もないしまつ毛も短い、顔色も赤みが気になる。 こんな状態、瞳たちの前ならともかく先生に見られるのだけは避けたい。 その思いから大きな声で言うと、櫻井先生はあきれたようにため息をつく。   
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