きみは太陽

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「だから、好きでいさせてほしいよ」 先生を見つめてまっすぐ言い切ると、こちらへ向けられたのは驚いたような瞳だ。 一瞬なにかを言いたそうに揺らぐ。 けれど言葉を飲み込んで、観念したように「ははっ」と笑ってみせた。 「な、なんで笑うの!」 「いや、お前変わってるっていうか……結構頑固なんだと思って。そんなんじゃ幸せになれないぞ」 「いいの!私は自分の手で好きな人を幸せにするの!」 大きな声で宣言する私に、先生はふたたび声を出して笑う。 「本当、バカだな。お前」 『バカ』と口に出してはいるけれど、優しく微笑む表情からどこか愛情のようなものを感じた。 すると先生は、地面に置かれたままの私の右手に覆うように左手を重ねる。 「……まだ、どうすると決めた訳じゃない。 けどまずは、その気持ちと向き合うよ」 彼の手は体温が低くひんやりと冷たい。 だけど重なった手の力強さから、これが彼にとっての小さな一歩だと感じた。 「うん……ありがとう」 今はもう、それだけでいいよ。 心からあふれた笑顔で、私は頷いた。 きっとまだ、先生の心を覆う蓋は重く動かない。 だけどそれでもいい。 何度でも気持ちを伝えて、何度でも心の蓋に触れよう。 いつの間にか高く昇った太陽が、私たちを見つめていた。   
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