1. 成人式

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付加能力:空腹感がわかる 発動条件:左耳を塞ぐ 能力等級:5級 講堂内にはクスクスと笑いが漏れていた。 とんだ赤っ恥だ。 ほかのやつらは『発火する』とか『雷を防ぐ』とか『上空から見下ろせる』とか何かと使えそうでかっこいいのばかりなのに、どうして俺のは空腹感なんだ。 もちろん5級で一番下の等級。要するに社会貢献度の低いスペスキということになる。確かに空腹感がわかったところで何の社会貢献ができるというのだろう。 「あの、いらないんですけど拒否権は?」 「ないよ。これは君が生まれ持った個性だからね。では授けよう」 「いや、ちょっと待って」 「君への天からのギフトだ」 「いらないです」 「さぁ受け取って」 トンッと額の真ん中を神官に突かれた瞬間、なぜか胸の真ん中のぽっかり空いた穴が塞がるような感覚がした。 そしてその時から俺の世界は左耳を塞ぐと賑やかな声が聞こえるようになった。 〈お腹空いた〉 〈腹減った〉 〈空腹だな〉 〈お腹いっぱい〉 そんな声で溢れる。っていうか、満腹感もわかるのかよ。 それにしてもこの会場、腹減ってる人多いな…… ってそんなのどうでもいい!  何だこれ、いらねー。
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