2. クスノキに元気を

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「ゼンくん、ちょっといい? この木、ちょっと元気がないと思うんだ」 植物園の先輩職員・シバさんが示すのは、園の中心にある巨樹・クスノキ。樹齢は300年くらいらしいが、確かに葉の色がくすんでいる。 「ちょっと待ってください」 左耳を塞いで木の幹に近づくと、やがて〈おなかいっぱい〉と苦しげで小さな声が聞こえてきた。生きてはいるが元気がない様子だ。そして食欲もなしか。 「うーん、今あげてる栄養剤はいらないかも」 「そうか……周辺の土がダメなのかな。土の成分とかpH(ペーハー)とか調べてみるか」 「俺も頻繁に様子見するようにします」 「頼むよ」 こうやって声を聴くことで、植物たちの健康を維持してやりたい。 「元気にしてやるから頑張れよ」 元気づけるようにトンッと幹を叩いた。
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