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それから2週間が経過。
土のpHを調整した結果、〈おなかいっぱい〉という苦しげな声は聞こえなくなったものの、クスノキは黙り込んだまま。
何も聞こえなければ聞こえないで枯れてる場合もあるから心配なのだ。
「おはよう。今日の調子はどうだ?」
不安を抱えつつ耳を澄ますと――
〈おなかすいた〉
来た! 小さな声だが空腹は元気な証拠だ。
「シバさん、今日はクスノキに活力剤投入しましょう」
「おぉ! そうか、やったな」
「はい」
シバさんとグータッチを交わす。
その日は嬉しくて口笛を吹きながら仕事をした。
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