パーティーを抜け出して

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 刺々しさをアクセサリーにする人達と会話は成り立たず、話題を反らす。 「西園寺さんの想い人はどんな女性なんでしょうか?」 「彼はプライベートと仕事をきっちり分けるタイプで、こと恋愛面では秘密主義だね。と言っても、いつまでもパートナー不在じゃ居られないだろうがな」  答えてくれたのは赤ら顔の男性。 「社長に就任する前に婚約するって話があるとか、ないとか?」 「あら、その話わたくしも聞きましたわ! やはり出自がしっかりした令嬢でしょうね」 「えぇ、一介のインストラクターでは釣り合いませんことよ」  ここに集うのは社会的地位が高い、いわゆるセレブ。西園寺氏がファンというから爪弾きをしないだけで、私が目障りで仕方ないのがよく伝わる。  私と西園寺氏は色恋の関係じゃない。そんな風に邪推するから腹ただしいのであって、わざわざ私の相手などしなければいいのに。 「その澄ました顔が生意気なのよね!」  女性が吐き捨て名刺を落とす。初対面でこれほど拒絶されるのは初めてだが、生意気と罵られることはままあって。名刺を拾ううちに他の人達も興味を失い、散っていった。  営業が絶望的に向いておらず、乾いた笑いが込み上げてくる。 (花梨ちゃんならきっと笑顔でセールスできた)  私はいつもこんな失態ばかり。手の中で名刺が折れ曲がった、その時。 「私達に関わらないで!」  花梨ちゃんの怒鳴り声が響く。
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