第1章. 現在

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 探す。  家中を探して。  マドロックの書斎のゴミ箱で、むしり捨てられたその残骸を見つけた。 「どうして……」 「猫を飼うのなら植物は家の中におくべきではない」  だったら違う場所に植え替えればいいだけなのに!  リーシャが他人と関わりをもつことをマドロックが嫌うのは知っていた。彼は自分の目の届く範囲でしか彼女に自由をくれない。  王立アカデミーに通うことができるのは、そこがマドロックの目の届く場所だからだ。 「わたしはあなたのことが嫌いよ………」  マドロックは軽くため息をついたあと、 「知っている」   と言った。
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