第14話 最後の宿泊は子供たちを連れていった!

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第14話 最後の宿泊は子供たちを連れていった!

最終水曜日、宿には紗恵親子が先に着いていた。僕と誠が到着すると美幸ちゃんがすぐに僕の脚にまとわりついてきた。それからは誠と二人で遊び始めた。オーナー夫妻が出てきた。 「お二人とも親子で来ていただいてありがとうございます。二人とも良い子ですね」 「今月でここを閉められるのは寂しいですね」 「宿は閉めますが、ここには住み続けるつもりです。終の棲家ときめていますので。これからは二人でゆっくり過ごすつもりです」 「ママさんのお陰でこうして中田さんと家族ぐるみでお付き合いさせてもらっています。ありがとうございました」 「お二人は相性ピッタリで気が合うと思いますよ。同じような境遇なのも分かり合えて良いですね。それにお子さんたちも気が合うみたいでまるで兄妹のようです」 「娘の美咲は今日、紘一さんと誠兄ちゃんに会えるのを楽しみにしていました」 「誠も美幸ちゃんに会えると喜んでいました」 「夕食は二家族で一緒に食べられるように用意します。それとお子様が食べられる料理も作りますからね。お風呂はどうしますか?」 「中田さんと誠ちゃんが先に入ってください」 僕たちがお風呂に入ろうとすると美幸ちゃんも一緒に入りたいと追っかけて来た。それで美幸ちゃんも一緒に入ることにした。ここのところ2回も一緒に入っていたので一緒に入りたいのだろう。 いつものように僕が一人ずつ洗って上げていく。紗恵が上がってきた一人ずつをバスタオルで拭いて服を着せていく。それを見ていたママさんがもう仲の良い家族のようですねと言っていた。 食事まで2部屋に分かれて一休みするところだけど、美幸ちゃんが遊びに来て誠の後をついてまわっている。誠もまんざらではなさそうだ。父親に似て可愛い女の子が好きだ。 ソファーに座っていて居眠りをしてしまった。誠に揺り起こされて目が覚めた。夕食の時間だった。食堂に降りて行くと紗恵と美幸ちゃんがもう席についていた。美幸ちゃんは子供用の椅子に腰かけている。誠にも同じ椅子が用意されていた。 4人そろって夕食を始める。子供用にお子様ランチ風の料理があった。紗恵は美幸ちゃんに食べさせている。2歳だからまだまだ手がかかる。誠は自分で食べているので見守っているだけ良い。同宿者がいたら、両親と子供2人で家族旅行に来ているように見えただろう。なんの違和感もない。 食事を終えると子供たちはまた遊び始めている。誠は美幸ちゃんが気に入っているおもちゃを持ってきていた。可愛い美幸ちゃんの気に入られようとしている。こういうところは父親より気が利く。 ママさんが食事の後片付けをしながら、今日はここで4人で一緒に飲みましょうと誘ってくれた。子供がいるのでラウンジでカラオケはできない。 しばらくするとオーナーがテーブルにウイスキーや氷、水、つまみなどを運んできてくれた。オーナーと僕は水割りを飲み始める。紗恵はママさんの後片付けの手伝いに厨房に入って行った。 「お二人が子供連れで見えることになるとは思ってもみませんでした」 「前回にここへきてから、お互いの住まいへ子供連れで遊びに行っていました。それで先月末は来られませんでした。ご覧のように子供たちも相性が良くて仲良くなっています。美咲ちゃんは僕とお風呂に入ってくれます」 「美咲ちゃんにはパパの思い出がないから、中田さんをパパのように思えるのでしょう」 「しばらくはこうして家族でお付き合いしようと思っています」 「それが良いと思います。お子さんにはそれぞれパパとママがいるみたいで精神的にも良いと思います」 オーナーと僕は子供たちに目をやっている。そうこうするうちにママさんと紗恵がテーブルに戻ってきた。つまみになるものを2皿持ってきてくれた。ここで4人は乾杯した。 「お二人をお引き合わせることができたのがここを閉めるにあたって最後にできたことです。後はお二人次第です。お互いに挫折を経験されていますから慎重にあせらずに進んでいけば良いと思います」 「私は中田さんをご紹介していただいて感謝しています。お話していると気が楽になりますから」 「僕も山本さんとお話していると楽しいですし前向きになれます」 「お互いにそう思えるのは相性がよい証拠です。この関係を大切にしてお互いの糧にすれば良いのです。何も無理をすることはありません」 それから4人はこれまでに起こったいろいろなことを話し合った。水割りとおつまみがおいしい。そこへ誠が美咲ちゃんが眠くなっていると知らせにきた。それで飲み会はここでお開きとなった。 もう9時に近かった。どうして寝ようかと考えた。紗恵と愛し合いたい。これは紗恵もこだわった。でも子供だけを一部屋に残して別室でというわけにもいかない。 紗恵と相談した結果、僕の部屋で4人が寝ることにした。幸いベッドは大きめだ。子供二人と大人二人で寝られないことはない。紗恵とは抱き合って寝ればよいことだ。それでまず美幸ちゃんを寝かしつける。次に誠をその隣で寝かしつける。誠が嫌がるはずがない。 二人が寝入ると僕たちは明かりを落としてソファーで愛し合うことを始める。音がしないように声を出さないように静かに愛し合う。僕たちはこういう風に愛し合うことに次第に慣れてきている。それでも二人には罪悪感は微塵もない。紗恵はそれが却って刺激になるようですぐに昇り詰める。 愛し合うことに疲れると僕たちはベッドに静かに入って抱き合って眠る。紗恵は夜中に目が覚めると僕を起こしてくる。僕はそれに応えて愛し合う。僕も目が覚めると同じことをする。そしてまた抱き合って眠る。 明け方、誰かが抱き合っている二人の間に入ってこようとするので目が覚めた。美咲ちゃんが僕たちの間に入ろうとしている。僕は入って来やすいように布団をずらした。美咲ちゃんは間に入って僕に抱きついてきた。母親の真似をしている? 一瞬そう思った。 紗恵はそれに気がついて誠を二人の間に導きいれた。子供の身体は温かい。4人はこうして何の違和感もなく一つの布団で目覚めることになった。子供たちが動き始めるともう寝ていられなくなる。久しぶりに紗恵とは抱き合って目覚めたかった。
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