重病

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重病

 十万人の国民を虐殺(ぎゃくさつ)した独裁者が、重病に倒れた。  牢に(とら)えられていた名医が呼ばれた。 「余命(よめい)半年です」  と医師は診断した。  その日は四月一日だった。 「まさか嘘じゃないだろうな」 「私はそんな嘘はつきませんよ」 「治療法は?」 「この薬を飲めば延命できます」 「そうか」  独裁者は薬を飲み……即死した。
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