白金川家のじいやーイーツ

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 「お嬢様の分だけ、ご用意すればよろしいですか?」 「いいえ、ふたり分用意してちょうだい。……今日はじいやと一緒にアフタヌーンティーを楽しみたいの」 思わぬ言葉に、幸之助は目を丸くする。 「……このわたくしめと、でございますか!?」 「ええ。……だって、じいやはいつも私のために、いろんなおいしいものを用意してくれるのに、自分ではひとくちも食べたことないでしょう?……そんなの、おかしいから、一緒に食べたいなと思ったの」 一介の執事にまで心を配ってくださるなど、なんとお優しい佳南美お嬢様。 「お嬢様……、じいは……じいは嬉しゅうございます……」 きっと佳南美お嬢様は、神から人間界に遣わされた、大天使にちがいありません。 「ほら、じいや、泣かないで。……せっかくのお紅茶が冷めてしまうわ。はやくいただきましょう」 目元をハンカチでぬぐい、幸之助は笑顔で答えた。 「……かしこまりました。お嬢様」  白金川家のじいやーイーツは、これからも不可能を可能に変え続ける。 大切なお嬢様のために、いつまでも、ずっと。 【おわり】
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