白金川家のじいやーイーツ

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白金川家のじいやーイーツ

 英国時間で午後14時45分。 超一流ホテルのティールームに、高級感あふれるタキシードをさらりと着こなす老紳士がやって来た。 彼の名は岩本幸之助(いわもとこうのすけ)。 名門白金川(ぷらちながわ)家の筆頭執事である。 受付担当者に優雅に微笑みかけ、彼は口を開く。 「トゥー、アフタヌーンティーセット、テイクアウェイ、プリーズ」  ……それは、日本時間で11時半のこと。 「ねえ、じいや。おなかが空いたわ」 白金川家の一人娘、佳南美(かなみ)がつぶやいた。 「何をお召し上がりになりたいご気分ですか?」 「そうね……。今日は、超一流ホテルのアフタヌーンティーを、おうちでゆっくり楽しみたい気分」 「かしこまりました。お嬢様」 「そうだ、じいや。持ち帰りは2人分でお願いね」 「御意」  佳南美お嬢様の願いを叶えることこそ、筆頭執事たる彼の至上命題。 じいやーイーツに不可能はない。 南極で採取した氷で、かき氷を作ったこともある彼の手にかかれば、通常テイクアウトを行っていないアフタヌーンティーセットを、特別に持ち帰ることくらい朝飯前なのだ。
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