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LAWS
神奈川県相模原市、陸上自衛隊装備研究団。
「合田三佐! 自立型致死兵器システムP01の位置情報を探知しました!」
人型や四脚のLAWSがケーブルに繋がれている研究室で、パトランプが鳴動するモニターを見て部下が声を上げた。
「何だと!あれは廃棄処分されているはずだぞ」
「しかし固体識別番号はP01のものです」
部下の返答に一瞬戸惑ったものの、合田はすぐに指示を飛ばした。
「GPSと準天頂衛星システムで場所の特定を急げ! 絶対に見失うな!」
自立型致死兵器システムとは、人からの指示を受けずにAIが標的を認識・選択し攻撃するロボット兵器の総称だ。自爆型無人機から人型ロボットまで、世界中で開発されている。
合田はかつて派遣されていたカンボジアで、日本政府の方針により弾丸の装填を許されない銃を持たされた部下を、わずか一五歳の反政府ゲリラに殺された過去があった。世界中の軍隊で、弾の無い銃を持っていたのは日本だけだった。それ以来、二度と殉職者を出さない思いで協力関係にある大手電機メーカーと共同開発し、ロボット兵器の実用化に注力していた。
検知されたP01は、人型LAWSのプロトタイプで、当初から敵地攻撃用及び紛争地の仮想敵、しかも心理的に射殺しにくい少年の姿で開発された。
しかし、研究が進むにつれ感情を見せるようになったP01に入れ込んだ主任開発者が、戦闘兵器としての開発を拒否、先月付で退職している。同時にP01は廃棄処分とされたはずだった。
「主任開発者だった中谷を探して連れ戻せ! 奴が関わっているはずだ」
技術の粋を集めた殺人兵器の流出。事態が表沙汰になる前に、絶対に回収しなければならない。
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