元カノのコトリバコ

元カノの友人

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　……僕が最初に東京で住んだ部屋は、少しボロいマンションで、半分ほどしか部屋が埋まっていなかった。
　深夜になる前から人通りがなくなり、自動車のエンジン音もしなくなる住宅街の一角だった。
　12月のバイト帰りに、三階にある部屋の前に向かうと何かいつもと違う気がした。
　周囲を見渡しても特に異常なし。
　なんだろう、と思ってドアの前に立つと、ノブにセロテープでUSBが張り付けてあった。
　なんだ、これとテープを剥がす。
　大学の知り合いが授業の資料でも置いていったのだろうか。
　でも、そんなことならメールでもかまわないはずだ。
　こんなやり方でUSBを届ける必要性はない。

「何かのイタズラかな」

　とりあえずポケットにしまい込み、室内に入る。