元カノの友人

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 喉にどこか別のところから空気が入り込んできたようだった。  一瞬どころか数秒間は呼吸が止まった気がした。  多分、誰でもそうなると思う。  なぜなら、どこかに固定されたスマホで撮影されたと思われる動画の中に映っていたのは、僕の元カノジョだった。  スカートをたくし上げて、男との行為に励む、かつて愛した女の子。  だけど、なにより僕にとどめを刺してきたのは、元カノのセックスのシーンというではなかった。 「オエっ」  僕は喉を逆流してくる弁当をゴミ箱に吐きつつ、玄関を睨みつけた。  あのドアの向こう。  あそこの手すりに元カノジョ――春目セーラは寄りかかって嬌声をあげている映像であったのだ……
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