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去年の夏。
ひとりぼっちだった。
友達といても家族といても。ユウといるときも、うれしさや楽しさと同じ量だけ、同じ濃さで、孤独がせり上がってきた。
いつもひとりぼっちだった。だから、誰でもいいから、ひとときでもそばにいて欲しかった。
俺はひとりぼっちで、嘘つきだった。
図書室で待つともなしに待っている。来なければそれでよかった。
でも。
でも、今日は正直、人肌が恋しい。理由はわかっていた。
昨日の日曜日、ユウが家に彼女を呼んだから。
俺はそれを部屋の窓からながめていた。ながめているしか、できなかった。
近くの書架の、興味もない詩集を手に取ってぱらぱらと開く。
夏休みの自由参加の補講。高等部に上がったばかりで内部進学組も編入組もみんな気がゆるんで、一年の参加率は低い。でも俺は部活に行くユウにくっついて学校に行くため、ただそのためだけに参加していた。
昨日の夕方、ユウの部屋。試験前になれば、いつも俺といっしょに勉強をするローテーブル。俺の定位置にS女の制服の彼女が座っていた。
そして翌朝、俺は平気な顔をしてユウと待ち合わせて、いっしょに登校してきた。ユウはなにも言わなかったし、俺もなにも聞かなかった。
あのこは彼女? 手をつないだ? キスをした? ユウはあのこを好きなの? 聞きたいのに聞けない俺は嘘つきだ。
がらりと図書室の扉が開いた。
「今井空輝?」
「…こんにちは」
「まじで、やっていいの?」
「…先輩がよければ」
「俺は大歓迎だよん」
「めちゃくちゃにしてくれるなら、どうとでもしてください」
部活の後は、制汗スプレーの人工的な香りが強い。ユウもいつもそうだ。でも匂い自体は全然違う。
この先輩は、背が高くて髪は染めていない。ユウとは似ていないけれど、似ている。背丈は同じくらい、体つきも。

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