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「アンタも馬鹿だよね。アイツらの落書きまで消してやる義務なんてないのに、わざわざ帰るの待ってから消すなんて。仮にアタシが係でも、こんな時間まで残って黒板消さないわ」 「別に、教室で居残り勉強してて、たまたま目に入ったからやっただけだよ」 「居残り勉強なら図書室とかでもできたでしょ。わざわざアイツらのいる騒がしい教室でやる事なんてないのにさ。アンタ、本当に馬鹿なんだね」  隙間の空いた窓をピシャリと締めてからニッタさんの方を向く。唇の端で笑っていた彼女と目が合う。「なんだよ」という風に肩をすくめる彼女に対し、「この際だから言うけどさ」と張り詰めた声で前置きを置き、 「私は貴方ほど馬鹿じゃないよ」と言い放った。
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