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「よ! 地味子。ま〜たそんなことやってんの? 」
鼻から息を漏らす感じで私に声を掛ける女子、同じ制服を着ているのに顔つきや雰囲気は私とほぼ真逆の様な存在のクラスメイトだ。私は少し眉尻を下げて「やぁ」と言った。
「あいっかわらず声ちっさいねアンタ。アタシの耳がおかしくなったのかと思うわ」
嫌味ったらしい彼女の声は私の耳によく響いた。口元が一瞬ピクっと動く。
「お〜、珍しくむくれてやんの。今度睨めっこする機会があればその顔やんなよ」
そう言って私の顔をジロジロと見た彼女は「クックックッ」と鼻を鳴らし「その顔なら絶対勝てるわ」と笑った。
思わず舌打ちをしそうになる私だったが、それを溜息に変換した。しかしそれは悪手だった。
「おぉ! 今度は自ら幸せを手放したか! アンタらしいねぇ」
感心する様に腕を組み、頭を縦に振るニッタさんは満面の笑みを浮かべている。今度こそ舌打ちをしそうになったが、これ以上こっちから何か態度を示そうものなら笑いの種にされるのがオチだと悟り、ニッタさんを背にして動くことにした。背中越しでも彼女がニタニタしているのが分かるのが少し癪に触る。
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