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「旦那様、エリー様をお連れしました。」 「なっ」 旦那様の返事を待たずにマクスは扉を開ける。 大丈夫。大丈夫。ドクドクと高鳴る鼓動を必死に宥めて入室する。 非道な扱いを受けたことは許せない。 でも怖い 恐怖と怒りと混在する感情で 泣きそうになりながらも、 旦那様と対峙する 勿論挨拶などはせずに。 「マクス、どういうことだ?書類含めて全て渡したはずだが。そうか、金銭か。 足りなかったようだな、いくらだ希望は」 黙っていたならば、旦那様は その容姿を見た女性を全て虜にしてしまうのではないかともいえる美貌の持ち主 性格や行動はありえないけれど 「お、お金なんていりません!! ご自分がされたことをなんとも思っていないのですか? もう、このようなひどいことを、他の誰にもしないでください!」 少しでも罪の重さを感じていたならば 本当は全ての行為は呪いのせいで、自分の意思とは関係ない様子だったならば 少しは許せるかもしれない けれども、旦那様からは罪悪感など微塵も感じられなかった ありえない 私は震えそうになる声で、必死に訴えを続ける 「なんだと?
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