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ターシャさんの話しを聞き終えると、私の心の中には彼の顔が思い浮かんでいた。
その騎士様が彼ではないかと…
まさかとは思うけれど。
もしかしてそうだったらいいなと
そんなはずないのに。
「では、次にその騎士が訪れるのはいつか分かるか?」
ターシャさんはご主人と顔を合わせると、沈んだ表情で答える
「もう、これで最後だとおっしゃっていました。詳しいことは分りません
わたしどもがお話しできるのは、これで全てです。」
「そうか、諦めたのだな。殊勝なこころがけだ。男は諦めが肝心。はは」
なぜか喜ぶ旦那様とは対照的に、私の心は暗く沈んでいった
「そうですか、あの、ありがとうございました」
もしかして、会えるのではないかと思ってしまった。
最後だと聞いて、がっかりしてしまうなんて…
お茶をいただいた後に、お礼を伝えて私達は宿屋を後にした。
帰り道、旦那様はもう邪魔者はいないから安心だとかご機嫌でマクスに語りかけていた。
私は心の中ではモヤモヤしていた
最後の花は白いコダだった
彼なのだろうか
彼だとしたら近くに来てくれていたのね
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