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「エリー様、少しよろしいですか」
「えぇ、どうぞ」
ノックの後に、マクスは入室すると紅茶をテーブルに並べる。その後、マクスは壁際に控えた
「良ければマクスも一緒にいただきましょう。お願い」
私はマクスをお茶に誘った。
テーブルに彼のカップも用意して。
遠慮するマクスに
「最後だから」と口にすると、
はっとした表情を浮かべて、黙って席に着いた
私がカップに紅茶を注ぐのを見届けると、おもむろに口を開いた。
「エリー様、最後とおっしゃいますのは…提出なされたということでしょうか?」
今日、あれから半年が経つ。
約束の期限の日。
貴族院には、私が書類を提出するだけ。必要事項は全て記入済みだった。
最初こそ酷い扱いを受けたけれども、メリッサ様にお願いされて、
一緒に過ごすうちに、段々と居心地の良さも感じていたのも事実。
でもそれは、愛情とは全然違う
秘密を共有した同士のような、知人のような感情
けれど、ここで旦那様やマクスと過ごした日々は、実家では決して感じることのなかった穏やかな時間だった
あんな事さえなければ…
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