招かれざる客

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「保のリクエストで、『ローズ』の『新しい風に吹かれて』は、弾く事になっているんだー。香澄ちゃんには、まだ訊いてないけど…」 「諸橋さんも確か『ローズ』のファンではなかったですか?僕も、その曲は大好きです」 「後は山村が弾きてー曲をテキトーに弾けよ」 「うん!そうするー。はい、これ香澄ちゃんの分だよう」 「ああ、持ってく。山村、先に鈴木と食ってろ」 「うん!鈴木くん、これ青椒肉絲ー。ひと口分だけ分けておくね!」 「ありがとうございます。…門出のお祝いの時に皆さんに言いたい事が有ります」 「言いたい事ー?」 山村は訳が解っていなさそうだが、俺はピンとキタ。 「俺も、あんた等に言いてー事が有る。何かは、鈴木と同じ時に話す」 「千夜くん…」 鈴木もピンとキタ様に俺を見た。 「2人共、今じゃ駄目なのー?」 「駄目だ」「済みませんが、今はちょっと…」 俺と鈴木の声が重なった。 「何か意味深だなぁ。まあ、いいや!…うーん!この青椒肉絲、美味しいー!」 山村の声を背に、俺は部屋を出ると、香澄の部屋に向かった。 チャイムを鳴らすと、「どなた…?」と、ちといつもと違う声で香澄が中から言う。 無害だったとはいえ、隣の部屋に強盗が押し入ったんだ。
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