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合格続き
古びたアパートで暮らす俺、千夜保(せんや たもつ)と親友の鈴木航(すずき わたる)、一応1つ先輩の山村凌(やまむら りょう)の3人。
そして、隣人で俺の彼女でもある諸橋香澄(もろはし かすみ)の4人は、はたから『仲良し4人組』と呼ばれていた。
そんな俺達だったが、新しい街への引っ越しを決意した。
その理由は話せば長くなるが…。
俺がまだ小学生の頃、家には両親が居なかったから、ばーちゃんが俺にとっては親代わりみてーなモンだった。
ばーちゃんは幼い俺に料理を手取り足取り教えてくれ、ケーキをよく作って食わせてくれた。
俺はばーちゃんのケーキが大好きだった。
大きくなったらケーキの作り方を教えてあげるとばーちゃんは言った。
俺はその日を楽しみにしていた。
だが、ばーちゃんは俺にケーキの作り方を教える前に天寿を全うした…。
地元の田舎の高校生になった俺の卒業後の進路希望先は、都内のパティスリー養成専門学校だった。
パティシエになるのは俺の夢だった。
そして鈴木の進路希望先は東京のT大学医学部だった。
鈴木は鈴木で将来は医者になりたい夢があるらしかった。
山村は将来は日本料理店を開きたいらしく、既に地元の調理師専門学校に通っている。
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