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行方を追っている…という事は、犯人…和田は、まだ捕まっていねーって事か。
昨夜の刑事は、ここら一帯を封鎖したって言っていたから、どこかに潜伏しているのかもしれねー。
「ホントだー。僕達のアパートが映ってるー」
「犯人が捕まるまでは不要不急の外出を避けて、戸締りもしっかりした方が良いでしょうね」
「香澄ちゃんの部屋に、ご飯を持って行くのも駄目かなぁ?」
「諸橋さんは隣人ですから…。彼女は用心深いから、戸締りもきちんとしているでしょうし…」
そうこう言っている間に、テレビは次のニュースに変わっている。
「山村。レンジ、鳴ってんぞ。いつまでテレビ観てんだ」
「あ、はーい!…鈴木くん、合格おめでとう!お赤飯だよう!」
山村が夕飯…じゃねー、朝飯を鈴木に振舞っている間に、細切りにした肉や野菜を炒める。
「美味しそうですね。頂きます」
「今日は、学校も休みだし、泥棒が怖いから、皆で部屋でお祝いしよう!」
「お祝い…ですか?」
美味そうに飯を食いながら鈴木が口の中のモンを飲み込んで訊く。
山村の言いたいのは、昨日言っていたキーボードの演奏の事だろう。
俺は火を弱めて、オイスターソースを掛けながら鈴木に、その事を言う。
「何でも山村が、得意のキーボードで、俺等のリクエスト曲、弾いてくれるんだと」
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