合格続き

2/10
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
香澄は地元の短大に進学し、高校教師になるという夢があった。 そして…。 『サクラサク』 3月も卒業式を控えたある日。 夕方、1人で下校していた俺の携帯にメールが届いた。 見ると香澄からだ。 その文面に書かれた5文字の言葉に俺はニヤリと笑って、『良かったな』とだけ返信した。 アパートまで着いた俺は郵便受けを開けてみる。 と、パティスリー専門学校から分厚い書類が届いていた。 俺が受験した専門学校は、合否が郵送で届けられると聞いている。 遂に俺の元にも結果が来たか…。 俺は書類の封筒を手に取ると、建て付けの悪い階段をカンカンカンと昇って行った。 部屋のドアを開けると、玄関からも直ぐ見える台所で、先に帰宅した山村が俺達の夕飯を作っていた。 「お帰りー!保、今日の夕ご飯は、『豚肉とピーマンのペッパー炒め』と『ポテトサラダ』と『イカと大根の炒め煮』だよう!」 山村は性格は抜けまくっているが、料理の腕は確かなので、今日みてーに帰りが早かった日は、美味い飯を作ってくれている。 最も美味いなんて言うと山村の事だから五月蝿くなるだろう。 だから褒めるのは、もっぱら鈴木や、料理が苦手でお裾分けを貰っている香澄だった。 「ああ、山村。遂に俺の所からも結果らしきモンが届いたぜ」
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!