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「いえ。少し前まで、そうする事が常識でしたので。最近になって、本人の心理を考えると、恐怖や不安を大きくしてしまう場合もあるのでは?という見解になったんです。傍に居て安心させてあげながら、楽になる呼吸を導いてあげる方が有効と言われるようになりました。医療従事者でもない方が知らなくて当然です。結君の為に、必死に何かしてくれたというのは、伝わってると思いますよ」
皇先生は、ゆっくりと優しい笑顔で話す
何て言うか、声が……
聞いてるだけで安心する
「うわぁ……すいません、結君。相当怖かったですよね?」
「……実は、ちょっと怖かったんですけど、優しい如月さんが、俺が怖いって思う事する訳ないって分かってたので大丈夫です。多分、如月さんが居なかったら俺、もっとパニックになってたと思うし……ほんとに如月さんが居てくれて良かったし、その後もずっと一緒に居てくれて、ありがとうございます」
「結君……」
「……結君。他に何か気になる事とか、体の調子が悪くなる事とかありませんか?」
「他には……特にありません」
「ご飯は沢山食べれてますか?」
「はい!今お世話になってる所のご飯が、何食べても凄く美味しくて!」
「ははっ。それは羨ましいな。じゃあ、夜は眠れてるかな?」
「はい。凄く大きくて、ふかふかのベッドなんです。昨日は、如月さんが心配して一緒に寝てくれて、ぐっすり眠れました」
「結君は、如月さんと仲良しなんですね?」
「あ……本当は、如月さんには仕事があるんですけど……俺が来てから、俺が迷惑ばかりかけるせいで、如月さんずっと俺の面倒見る事になっちゃって……」
「副社長の大切な方に、快適な環境を提供するのは、私の大切な仕事ですよ」
それから、何個か質問に答えると、
「それじゃあ念の為、症状が出にくくなる様な薬を出しておくね」
「……薬……ずっと飲むんですか?」
「とりあえず今はね。でも、そんな強い薬じゃないし、出来れば飲んでた方がいいと思うんだけど、薬は苦手かな?」
「いえ、全然大丈夫です……あの、俺は何の病気何ですか?」
「多分、少し精神的に不安定になってる時に出る症状だとは思う。でも、この病気ってのは、まだちょっと分からないかな」
「ずっと病院通いますか?」
「別に病名が分からくてもね、症状が出なくなったり、或いは、症状が出ても結君や周りの人達が困る事がなければ、病院に来なきゃダメって事はないよ。でも今は、ちょっと困ってるだろ?」
「……はい」
「じゃあ、どうしたら困らなくなるのか、少しずつ先生と考えていこう」
「……はい。先生の声聞いてると、凄く落ち着きます」
「そうかい?次の受診とか、薬の事とか、ちょっと如月さん借りて話しててもいいかな?」
「はい。じゃあ俺、外で待ってます。如月さん、お願いします」
「はい。しっかり聞いておきますね」
そうして後は如月さんに任せて、廊下で待つ
皇先生、凄く日本語上手だった
名前も皇だし、ハーフなのかな?
綺麗な金髪に、青みたいな緑みたいな綺麗な瞳
でも、何より声が、凄く綺麗だった
薬……飲むって事は、病院通わなきゃならないんだよな……
また、迷惑かけちゃうな
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