皇先生

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「少し……いい子過ぎますね。無意識なのか、育った環境によるものなのか。普通は……中学生にもなった男の子が、初めて会った医者に、声を聞いてると落ち着きますなんて、思ったとしても言わないでしょう。それでいて、恐らく凄く怖かったはずの、如月さんの行為に関しては、まるで気にも留めていないといった返答ですし、そう思ってるようにしか見えませんでした。人の良い所には敏感で素直。でも、そうじゃない事に関しては、まるで、すぐに昇華させてしまってるようです」 「……何でもない木の下に立って、見上げて、凄いなぁと感動する様な子です。九条も、たった1人の身内を亡くして1ヶ月で、あまりにも冷静に父親の話をしているのが、気になったと、言っていました」 「そうですね。でも、とりあえず私達は、それぞれがまだ、お互いの事をほとんど知りません。少しずつ時間をかけて知り、何が必要なのか考えていきましょう」 「……はい。そうですね。宜しくお願いします」 その後、薬の事、学校の事、次回受診の事 必要事項を短時間で話し合い、受診は終了した 「結君、お待たせしました。帰りましょうか」 「はい」 色んな事が変わり過ぎています そうだよな…… 「結君、今日、結君に紹介したい人が居るのですが、会ってもらえますか?」 「紹介したい人……ですか?はい……」 「ちょっと無礼な所がありますが、私が仕事で忙しい時、結君の傍に居る事になるかもしれませんので、紹介しておきますね?」 「はい……すいません。また……面倒かけてしまって……」 「いいえ。多分……今日会う人は、結君に沢山面倒をかけるかもしれませんので……。今のうちに謝っておきたいくらいです」 「はあ……?」 けど、きっと、誰よりも結君は、気を遣わなくて済むだろうから こうやって、すぐに謝ってしまう結君を、どうにか出来るのは、あいつくらいだろうから 全く気は進まないが…… 伊織と佐久間にも話しておくか……
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