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「……熟睡。薬のせいか?」
「まあ、そうだろうな」
すーすーと寝息を立てている
「座って話してんのに、寝始めたぞ?ちょっと薬、強過ぎじゃないのか?」
「まあ、まだ1日目だし様子見だろ。いつでも九条に相談するさ……発作起こしたり、悪夢でうなされるより、ずっといい」
「んで?俺達の馬鹿上司は、どうしたいの?」
「それが分かんなくて、悩んでんだろ?」
「ほんっと、馬鹿だな。九条に頭見てもらえば?」
「兄の彩仁と……色々あって複雑な関係だったみたいだからな」
「……それは、叔父側の問題だ。結には関係ない。関わる気がないなら此処に連れて来るべきじゃなかった。此処に置いて関わったなら、責任持つべきだ」
「だからさ、その、関わりたい気持ちと、関わらない方がいいんじゃないかって気持ちの間で、悩んでんだろ?」
「悩むのは自由だ。だが、その行動に振り回される結は、どうしたらいい?」
叶は、人の真意を見極めるのが得意だ
どんな態度や言葉にも惑わされない
「……そうだな。結君が、あんな風に笑ったの、初めて見た。お前が近くに居るのは、いい事かもな」
「結は子供だ。ほんとは毎日、あんな風に笑ってるべきだ。俺が笑わせてやる」
そう言って頭を撫でて、額に顔を近付けると
「Trop mimi」
そう言って、キスをした
「叶……頼むから、伊織の前ではやめてくれ。お前だけじゃなく、俺まで殺される」
「心の狭い叔父さんだな?」
叶がもう一度頭を撫でると、結君が叶に身を寄せた
多分、誰かと寝る事に慣れている
おそらく、1人で寝る事よりも……
「……ん……ふふっ……」
結君が…笑った?
「結、楽しい夢、見てるのか?」
「……ん………も…あい………る……」
「ん?……そっか。俺もだよ」
そう言って、叶はぎゅっと結君を抱き締めた
「……結君、何て言ったんだ?」
「分かんない。でも、きっと嬉しい言葉」
「………そうか」
しばらく様子を見るが、結君は、安心して叶にくっ付いて眠っている
大丈夫だ
多分、結君は、叶と居るべきだ
この姿を見たら、伊織だって納得するだろう
あとは、一応九条にも言っておいて……
「よし!溜まってた仕事、片付けるか!」
「……ん~……透哉……Ta gueule……」
腹立つなあいつ
俺がこれから仕事なのに、結君と寝ながら、黙れだと?
ベッドへ行き、叶の方の布団だけ剥がしてやる
そう言えば、俺が結君と寝てた時は、伊織が機嫌悪くなってたっけ……
難しい事考えないで、さっさと自分の気持ちに正直になって、先の事考えればいいのに
そうはいかない、めんどくさい性格してるからなぁ……
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