歩み寄り

1/4
前へ
/48ページ
次へ

歩み寄り

「………なんで叶が一緒に寝てるんだ?」 「ですが、結君、すっかり懐いてる様ですね?」 朝比奈 結が、叶にくっ付いて眠っている 少し離れた場所で仕事をしている透哉を見てやると、 「俺もどうかと思ったんだけどさ。叶に会って数分で結君笑ったんだよ。夕食も2人で楽しそうに食べて、叶にくっ付いて眠ったら、夢でも笑ってた。きっと……今の結君には、俺より叶の方が、気を遣わなくて済むし、楽なんだろ」 「はぁ……不安しかないが……発作は起こさなかったのか?」 「大丈夫だ」 朝比奈 結の元へと近付く 叶は、暑くて布団剥がしてんのか? 透哉にも、こうしてくっ付いて眠ってたな いつも彩仁と、こうして寝てたのか? 本当は、誰かとこうして眠りたいと思っているのか? 本当は……何をして欲しいんだ? 何を望んでるんだ? 「佐久間、透哉。九条の病院で診てもらうなら、ここに居た方がいいだろう?だから、俺が、叔父だという事は別として……当分は此処で暮らしたらどうだという提案は……困ると思うか?迷惑か?」 「叔父じゃなくとも、父親の大切な人に、此処に居ていいのだと言われて、迷惑なはずがないと思いますが?」 「他でもない、伊織に……此処に居ていいんだって許可貰えたら、安心するに決まってるだろ」 「……そうか」 すやすやと眠っている 頭を撫でてやる 「それから伊織。結君の名前、呼んでやれよ。お前じゃなくて、結って呼んでやれ」 「…………佐久間」 「はい」 「自分では、よく分からないが………俺と…彩仁は………声、似てるのか?」 「………なんだ。そんな事気にしてたのか。彩仁と伊織は双子だが、二卵性だからな。時々似てるなと思う瞬間はあるが、基本的には違う。雰囲気も違うお前に呼ばれて、彩仁に呼ばれた様には感じないと思うぞ?」 「……そうか」 「おい、伊織。そういう悩みとか、1人で考えてないで、さっさと相談しろよ。お前1人で考えてると、全然前に進まないんだよ」 「まあまあ、透哉。うちの副社長は、繊細さんなんだよ」 「めんどくさいな」 「………無駄口はいいから、溜まってる仕事、さっさと片付けろ!」 「なんだよ、もう終わるっての!」 「ふっ……流石だな、透哉。しかし、この分だと、すっかり結君は叶に懐いてるし、透哉は本業に集中してもらった方が良さそうだな」 「ああ、俺も賛成。話し方はハラハラするが、結君は気にしてないし。何より、誰よりも結君が欲しいものを、あげられている」 話し方以外もハラハラしかないが…… 1番この子の近くに居た透哉が、そう言うなら仕方がないか…… 「………はぁ…だが、透哉。時々、様子を見に来い」 「了解」
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加