17人が本棚に入れています
本棚に追加
歩み寄り
「………なんで叶が一緒に寝てるんだ?」
「ですが、結君、すっかり懐いてる様ですね?」
朝比奈 結が、叶にくっ付いて眠っている
少し離れた場所で仕事をしている透哉を見てやると、
「俺もどうかと思ったんだけどさ。叶に会って数分で結君笑ったんだよ。夕食も2人で楽しそうに食べて、叶にくっ付いて眠ったら、夢でも笑ってた。きっと……今の結君には、俺より叶の方が、気を遣わなくて済むし、楽なんだろ」
「はぁ……不安しかないが……発作は起こさなかったのか?」
「大丈夫だ」
朝比奈 結の元へと近付く
叶は、暑くて布団剥がしてんのか?
透哉にも、こうしてくっ付いて眠ってたな
いつも彩仁と、こうして寝てたのか?
本当は、誰かとこうして眠りたいと思っているのか?
本当は……何をして欲しいんだ?
何を望んでるんだ?
「佐久間、透哉。九条の病院で診てもらうなら、ここに居た方がいいだろう?だから、俺が、叔父だという事は別として……当分は此処で暮らしたらどうだという提案は……困ると思うか?迷惑か?」
「叔父じゃなくとも、父親の大切な人に、此処に居ていいのだと言われて、迷惑なはずがないと思いますが?」
「他でもない、伊織に……此処に居ていいんだって許可貰えたら、安心するに決まってるだろ」
「……そうか」
すやすやと眠っている
頭を撫でてやる
「それから伊織。結君の名前、呼んでやれよ。お前じゃなくて、結って呼んでやれ」
「…………佐久間」
「はい」
「自分では、よく分からないが………俺と…彩仁は………声、似てるのか?」
「………なんだ。そんな事気にしてたのか。彩仁と伊織は双子だが、二卵性だからな。時々似てるなと思う瞬間はあるが、基本的には違う。雰囲気も違うお前に呼ばれて、彩仁に呼ばれた様には感じないと思うぞ?」
「……そうか」
「おい、伊織。そういう悩みとか、1人で考えてないで、さっさと相談しろよ。お前1人で考えてると、全然前に進まないんだよ」
「まあまあ、透哉。うちの副社長は、繊細さんなんだよ」
「めんどくさいな」
「………無駄口はいいから、溜まってる仕事、さっさと片付けろ!」
「なんだよ、もう終わるっての!」
「ふっ……流石だな、透哉。しかし、この分だと、すっかり結君は叶に懐いてるし、透哉は本業に集中してもらった方が良さそうだな」
「ああ、俺も賛成。話し方はハラハラするが、結君は気にしてないし。何より、誰よりも結君が欲しいものを、あげられている」
話し方以外もハラハラしかないが……
1番この子の近くに居た透哉が、そう言うなら仕方がないか……
「………はぁ…だが、透哉。時々、様子を見に来い」
「了解」
最初のコメントを投稿しよう!