歩み寄り

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「おはよう、結」 「ん……おはようございます、叶さん……」 「まだ、眠いか?」 「少し……」 「ははっ……まだ瞼開ききってないな。薬のせいかなぁ。急ぐ用事ないから、もう少し寝てるといいよ」 「……はい…すいません……」 すぐに寝息を立てている これ……絶対薬、効き過ぎじゃないか? 最初は、こんなもんなのか? ピンポン 透哉が来た 「叶、結君変わりない?」 「変わりないけど、まだ眠そうだから寝せといた」 「そっか。まあ、数日続くようなら相談するか」 「俺、着替えて来るわ」 「伊織が、当分は結君を置いとく事に決めたらしいよ」 「……当たり前だ。さっさと叔父だと白状しろ」 「それは、まだまだ先だろなぁ…」 「……着替えて来る」 馬鹿だ 加賀美 伊織は馬鹿だ あんな子供が頑張ってるのに、本気で向き合わなきゃならない、ギリギリのラインで、いつまでもフラフラしている 1度も会った事がなかろうと、父親の双子の弟だと言うだけで、どれだけ安心するか あの子が欲しいのは、設備の整った部屋でも、景色のいいレストランでもない 居てもいいんだと思える場所と、そう言って傍に居てくれる人だ 多分どっかで分かってる なのに、自分だけ安全な場所に居やがって! ムカつく! 「Saleté!」 結の部屋に戻ると、加賀美 伊織と佐久間が居た 後ろから思いっきりあの頭、ぶん殴ってやりたい と、思ってたら、話し掛けてきた 「叶、何か少しでもおかしな事があったら、すぐに透哉を呼べ。それから、勝手に色んな所へ連れ回すなよ」 「は~い」 「おい!ちゃんと分かってんのか?!」 「分かってますって。結が起きちゃうから、大声出さないでよ」 「くっ……佐久間、行くぞ」 「はい。叶、頼んだぞ」 「は~い」 「あいつ、本当に色々大丈夫なのか?」 「大丈夫じゃないのは、話し方だけです。行きますよ」 出がけに聞こえてきた会話によると、佐久間はまだ、それ程馬鹿じゃないらしい よく、あんな奴のお守りしてんな それから、1時間位すると、結が起きた 「おはようございます。叶さん」 「おはよう、結。起きれそう?」 「はい」 そう言って起き出したけど、だるそうだな 朝はこんなもんなのか? 一緒に遅めの朝食を摂る 「結、普段は何時に起きてたの?」 「5:30~6:00位です」 「随分早起きなんだね?」 「父さんが毎日5:30に起きてたので。父さんは牧師だったんです」 「ああ、納得」 「叶さん、ここのオムレツ、すっごく美味しいですよね?」 「ははっ。そうだね。すっごく美味しいけど、こうやって結と話しながら食べてると、もっとすっごく美味しく感じる」 「俺もです!」 ぱあっと目を輝かせて喜んでいる 馬鹿だなぁ こんな笑顔見ようとしないなんて いや、こんな笑顔にしてあげられないなんて、ここの奴等は皆馬鹿だ
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