17人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはよう、結」
「ん……おはようございます、叶さん……」
「まだ、眠いか?」
「少し……」
「ははっ……まだ瞼開ききってないな。薬のせいかなぁ。急ぐ用事ないから、もう少し寝てるといいよ」
「……はい…すいません……」
すぐに寝息を立てている
これ……絶対薬、効き過ぎじゃないか?
最初は、こんなもんなのか?
ピンポン
透哉が来た
「叶、結君変わりない?」
「変わりないけど、まだ眠そうだから寝せといた」
「そっか。まあ、数日続くようなら相談するか」
「俺、着替えて来るわ」
「伊織が、当分は結君を置いとく事に決めたらしいよ」
「……当たり前だ。さっさと叔父だと白状しろ」
「それは、まだまだ先だろなぁ…」
「……着替えて来る」
馬鹿だ
加賀美 伊織は馬鹿だ
あんな子供が頑張ってるのに、本気で向き合わなきゃならない、ギリギリのラインで、いつまでもフラフラしている
1度も会った事がなかろうと、父親の双子の弟だと言うだけで、どれだけ安心するか
あの子が欲しいのは、設備の整った部屋でも、景色のいいレストランでもない
居てもいいんだと思える場所と、そう言って傍に居てくれる人だ
多分どっかで分かってる
なのに、自分だけ安全な場所に居やがって!
ムカつく!
「Saleté!」
結の部屋に戻ると、加賀美 伊織と佐久間が居た
後ろから思いっきりあの頭、ぶん殴ってやりたい
と、思ってたら、話し掛けてきた
「叶、何か少しでもおかしな事があったら、すぐに透哉を呼べ。それから、勝手に色んな所へ連れ回すなよ」
「は~い」
「おい!ちゃんと分かってんのか?!」
「分かってますって。結が起きちゃうから、大声出さないでよ」
「くっ……佐久間、行くぞ」
「はい。叶、頼んだぞ」
「は~い」
「あいつ、本当に色々大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃないのは、話し方だけです。行きますよ」
出がけに聞こえてきた会話によると、佐久間はまだ、それ程馬鹿じゃないらしい
よく、あんな奴のお守りしてんな
それから、1時間位すると、結が起きた
「おはようございます。叶さん」
「おはよう、結。起きれそう?」
「はい」
そう言って起き出したけど、だるそうだな
朝はこんなもんなのか?
一緒に遅めの朝食を摂る
「結、普段は何時に起きてたの?」
「5:30~6:00位です」
「随分早起きなんだね?」
「父さんが毎日5:30に起きてたので。父さんは牧師だったんです」
「ああ、納得」
「叶さん、ここのオムレツ、すっごく美味しいですよね?」
「ははっ。そうだね。すっごく美味しいけど、こうやって結と話しながら食べてると、もっとすっごく美味しく感じる」
「俺もです!」
ぱあっと目を輝かせて喜んでいる
馬鹿だなぁ
こんな笑顔見ようとしないなんて
いや、こんな笑顔にしてあげられないなんて、ここの奴等は皆馬鹿だ
最初のコメントを投稿しよう!