俺だって

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睡眠時間6時間 しっかりと睡眠を取った 「佐久間」 「はい」 「どうだ……話し辛そうか」 「……ふっ……いえ。普段通りですよ」 馬鹿にしてるのか? こっちは必死だと言うのに 「……何故笑う?」 「いえ……あなたが、そこまで必死になるとは、思ってなかったので。そんな風に思ってるのなら、結君にも、きっと伝わりますよ」 「俺だって……」 「え?」 「………透哉や叶は、何故会ってすぐに、あんなに仲良くなれるのだ?」 「あなたにとっての結君も、結君にとってのあなたも、特別ですからね。そこに、色んな思いや考えがあれば、手放しで気軽には近付けなくなるでしょう」 じゃあ何だ 俺はずっと、お互いに緊張して、他人行儀なままか もっと…… 普通に話せる様になるには……… 透哉が予約したのは、高級和食懐石の雰囲気のいい店だった 会社から近く 個室があり 部屋からは、見事な日本庭園が見渡せた 部屋には、既に3人が揃って座っていた 「加賀美さん!あの…お久しぶりです。えっと……また病院に通う事になってしまって、すいません」 俺と佐久間が座ると、すぐに挨拶をしてきた 「いや……体の調子はどうだ?薬の調整が必要なら、すぐに相談する」 「朝が眠くて、早起き出来ないのですが……夜もぐっすり眠れてますし、あれから苦しくなったりしてません!」 以前と同じく元気そうだ 「そうか……だが………当分は薬の調整が必要だ。診てくれてる医者も近くの方がいい。しばらくこっちで、ゆっくりするというのはどうだ?」 言えたぞ 言えたが……どうだ? こんな話し方、今回も失敗か? 朝比奈 結が、じっとこっちを見ている 「……いいん……ですか?俺……迷惑ばっかりかけて、忙しい加賀美さんの仕事増やしてばっかりで……勝手に来ちゃったのに……加賀美さん、俺が居る間は、面倒見るしかないから……早く帰った方がいいと思って……」 ………俺の事を思って…… それで、早く帰ろうとして…… 「俺の事は気にするな。報告を聞いて、指示を出すだけだ。指示を出された人間からも、今のところ文句は出ていない」 俺への文句以外は…… 「俺は、結と居るのが仕事なら、ラッキー」 「私も、結君と居るのは楽しいですよ。叶の代わりになりたいくらいです」 「叶さん……如月さん……ありがとうございます」 ん? 今、あいつ…… 結って…… 「私も、私の周りには、素直に感謝を述べてくれる者が居りませんので、結君の様な人が居てくれると癒されますね」 皆……結君って…… 叶に至っては、結と呼び捨てに! 「……俺だって、結と呼びたい」 なんだって、叔父である俺以外の奴等が、勝手に名前で呼んでるんだ? 「あの……加賀美さん。結って……呼んで下さい」 「……え?」 驚いた 完璧なタイミング過ぎて、こっちの考えが読めるのかと思った だが、これは好都合 「そうか。では、そうしよう。結……叶の運転は大丈夫だったか?」 「はい。父さんとは全然違ってて、楽しかったです!」 どう全然違ってたのか気になるところだ 「透哉、代わったのか?」 「いえ。日本の交通ルールを遵守しておりましたので、問題ありません」 じゃあ、何が楽しかったんだ? まあ……楽しかったのならいいか
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