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怒っても……いい……
何か、凄く重たい物が、深い所から沸き上がってくる
その瞬間
結、見てごらん?綺麗だろ?
はっ!
「大丈夫です!俺、皆さんに、凄く優しくしてもらって……」
俺は、優しい人達の中に居る
「具合い悪くなったら、すぐに先生に診てもらって……俺は、凄く恵まれてます」
俺は、恵まれてて、幸せだから
大丈夫
そっと体を離すと、加賀美さんが、
「……そうか」
と言って、俺の左の目の下を触った
?
え?拭った?
自分で、右の目の下を触ると
涙……
俺、泣いてる?
いつから?
発作で苦しかった時から?
ずっとだったのかな……
全然気付かなかった
「泣きたくなければ、泣かなければいい。泣きたくなったら、泣けばいい。お前の好きにしろ」
そう言って、加賀美さんは、優しく俺の頭を撫でてくれた
1回ポンっと手を置いて、それから撫でる
父さんと……同じ……
結……
「ふっ……泣きたくなったか」
「……加賀美さんの撫で方……父さんと一緒なので……懐かしくて、嬉しくて……うっ……」
あれ?
なんか……どんどん涙出てくる
「うっ……ううっ……」
どうしよう
そんなに泣く事じゃないのに、全然止まらない
加賀美さんが、もう一度抱き締めてくれた
「お前は、父親に似て我慢し過ぎだ。もっと泣いて怒れ。彩仁は、泣き方や怒り方を教えてくれなかったのか?」
加賀美さんの話し方が、凄く優しくて
加賀美さんから、父さんの名前を聞いたら、凄く安心して
俺は、馬鹿みたいに……小さな子供みたいに泣き叫んで
そのまま、加賀美さんの胸の中で眠ってしまったらしい
気持ちいい
こんな気持ち良く眠ったの久しぶり
なんでかな
この匂いのせい?
「………ん……ふふっ……」
「結君、そんなとこで寝てるのに、いい夢見てるんですね?」
「あんなに苦しんだ後、あれだけ泣いたんだ。相当疲れただろう」
遠くで……佐久間さんと、加賀美さんの声が聞こえる
「それにしても、まさか貴方が、自ら結と呼びたい等と言うとは、思いませんでしたね」
「………何だと?」
「結君に許可して貰えて良かったですね?」
「待て。俺は……口に出していたのか?」
「ええ……やっぱり気付いてませんでしたか。時々貴方は、考えてる事をボソッと口に出してるので、気を付けた方がいいですよ?」
「な……時々だと?今日だけじゃないと言うのか?」
「ええ。まあ……仕事上では、その様な事はないので、安心して下さい。今のところ、結君に関する事だけ、ですね?」
「……今度から、俺にその場で伝えろ」
佐久間さんと、加賀美さん仲良し
ずっと一緒なのかな
父さんと、加賀美さんは、どの位一緒だったのかな……
彩仁って呼んでた……
……ちゃんと……仲良かったんだ………
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