18人が本棚に入れています
本棚に追加
ずっと楽しそうに笑われてると……俺は、気付けないんだ……
誰に向けて言った言葉なんだか
彩仁、どうやら伊織も、そう思ってるらしいぞ
結君、ちゃんと伊織の胸の中で泣けたから、大丈夫だ
けど、こっちは色々と大変なんだ
高みの見物してないで、たまには手を貸してくれ
「……熟睡ですね……伊織なのに……」
「信じられない……伊織で泣いて寝るなんて……」
「結、そんなとこで寝ちゃダメだぞ!」
「……お前ら………」
腹が立ってる様だが、動こうとはしないし、声を抑えている
貴重な光景だ……
しかし……
「そろそろ時間ですが、どうしますかね?」
「結君は、俺達が連れてって寝かせるよ」
「結、おいで」
透哉と叶で、結君を伊織から離そうとすると、
「……ん~……」
結君が、伊織にしがみついた
「なんと!」
「え?結君、そんなとこ、しがみついてちゃダメだよ~」
「結、手、離して」
「ん……ん~!……」
結君は、叶の手を振り払い、伊織にしがみつき、頬を擦り寄せると、満足そうに眠っている
「これは……信じられない事ですが、伊織から離れたくないのでは……」
「信じたくないけど……そうかもしれない」
「結……頭おかしくなったのかもしれない……」
「……おい、何故、信じられないんだ?無駄口叩いてないで、さっさと動け!こいつは、このまま連れて行く」
このまま連れて行く……
「まさか……結君連れて仕事戻る気ですか?」
「いや、それはさすがにまずいよ伊織。眠ってるんだし、なんとか連れてくよ」
「加賀美副社長に、隠し子か?!って記事出るかもな~」
「……裏のエレベーターに乗れば、誰にも会わずに部屋まで行ける。こんなにしがみついてるのに、眠ってるからといって、勝手に離したら、可哀想だろうが」
「「「……………」」」
今のは……ほんとに、この男の口から出た言葉なのか?
「?何故、黙ってる?さっさと仕事しろ」
「分かりました。結君は連れてきましょう。どうやって連れてきますかね……」
「佐久間、本気なのか?結君なら軽いから、普通に抱いて車に乗せれるだろうけど……」
伊織が、結君を抱いて立ち上がる
「伊織、車まで抱いて行けそうか?俺が連れてってやろうか?」
「……こいつは…ちゃんと食ってるのか?大型犬並の重さしかないぞ?」
伊織が立っても、結君は、まるで起きる気配がない
「一応、男の子ですからね。起きてる時には口に出すべきではないですよ?物凄く気にしてるかもしれませんからね?」
「……そういうもんなのか?」
「大抵の男の子は、背が伸びて、強くなりたいと思ってるでしょうからね」
「結は、俺の肉体に憧れて、トレーニング頑張りたいらしいよ」
叶がそう言うと、
「いつ、お前の筋肉に憧れる機会があった?」
一気に機嫌が悪くなった
叶……余計な事を……
「いつって……一緒にジムでトレーニングして、風呂入った時だよ。結、俺の上腕二頭筋触っていい?って聞いてきて、風呂では俺の腹筋見て真っ赤になって、可っ愛い…むぐっ」
「かなた~。その辺でやめとこうか~。佐久間、時間時間」
透哉……遅い
透哉と叶を残して、超絶不機嫌となった伊織と店を出た
最初のコメントを投稿しよう!