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「……だったら余計……あの子を、俺に近付けるべきではないだろう」
「……俺は、いつもと同じ様に笑って、問題ない成績を残してた彩仁が突然消えたと聞いて、深く後悔した。あの時、彩仁は俺の前で泣いたのに、俺は、理解出来ないまま、その後知ろうともしなかった。彩仁の元へ足を運ぶ様になってからも、ふと、彩仁と視線が合う様に感じる事があった。けれども、気付くべきではないと思った。いずれ……俺達がいい歳になったら…話し合える日が来るかもしれないなんて、考えていたからだ。だが……そんな日は来なかった。また……俺は何もしないまま後悔した……」
「佐久間……」
「あの子にとって、戻る事が幸せならそれでいいだろう。けれども、お前が叔父である事を知らないのはフェアじゃない。叔父だからと知って、金銭的援助を求めてくるような子でもないし、叔父だからといって、一緒に暮らさなければならない訳でもないだろ」
俺は……どうしたいんだ?
子供の面倒なんて見れる訳がない
向いてない
そもそも彩仁と違って、人付き合いが苦手なのだ
きっと……あの子を傷つける
あの子を知りたい気持ちはある
彩仁を知りたい気持ちも……
だけど……
あの子を幸せにする自信がない……
「佐久間には……あの子がどうしたい様に見える?」
「戻りたいのかどうかは分からないが……とにかく、結君はお前の事が知りたいんだろ?」
俺の事を……
「………帰す準備は……もう少し待ってくれ」
「ふっ……畏まりました」
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