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「な、なんだよその目…?」
「…いや別に」
「別にじゃないっしょ!?何知ってんだよ!?答えろなっちん!」
ボーロが言うと夏川は短くため息ついて静かに話しだした。
「エイプリルフールの事だよ」
「は?」
「今日エイプリルフールだったろ?」
「だから何だよ?」
「前付き合ってた男に結婚しよって指輪渡された話しを今日稲瀬が両親に言っちまったんだよ。だけど今日の夕方にフラれて結婚の話しはなかった事になって…」
「でもエイプリルフールなんだから嘘だったって事になんだから良いじゃん」
「エイプリルフールとかそう言う行事をあんまり知らない稲瀬の両親が本気にしちゃったんだよ。そんで親戚中にうちの息子が結婚するって言いまくっちゃって、式場も予約しちゃったんだって。だから今更無かった事、つまり“嘘でした!”って言えなくなっちゃったから稲瀬が結婚式あげる事になっちゃったんだよ」
「誰と?」
「お前らのどっちかと」
「末永く宜しくお願いするわね」
俺とボーロはしばらくその場に固まって動けなくなったし、ついでに思考も停止した。
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