花笑む紫杏

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「おーい、しーくん!」 高校に登校中、大きな声と共に抱きつかれる。 その巨体の重みをずしりと背中に感じながらも、 紫貴はあえて前を向きながら平静を装って歩き続けた。 「ちょっとちょっとしーくん止まってよ!」 焦ったようにそいつが言って、ようやく止まってあげる。 そしてニヤッとしながら、 「おはよ。瑠杏。」 振り返って言った。 「うわー、しーくんが朝から眩しい、、。」 こいつ、瑠杏は今日も訳のわからないことを言いながら 目を抑える動作を見せる。 「意味わかんな。」 俺は、一条紫貴。 現在高校2年生だ。 この、俺に乗っかかってきたやつが日草瑠杏。 高一の時から同じクラスで、いつも一緒にいるくらいには仲がいい。 「ねー、しーくん、彼女ともうすぐ2ヶ月だよね。」 「おー。そうだぞ。」 「しーくん取られちゃったみたいで、寂しいな、、。」 瑠杏が俺の顔を覗き込み、大きな丸い目をもっと丸くした。
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