01.不良になった幼なじみ

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「おはよー……」 顔を洗ってメイクをして、制服に着替えてリビングに顔を出すとリビングはいい匂いが充満していた。 「春菜(はるな)おはよう。朝ごはん出来てるわよ」 「は~い」 エプロンをつけたお母さんがちょうどダイニングテーブルの上に朝食を並べ終えたところなので、イスに腰を下ろす。 お父さんはいつも朝早く夜遅いのでごはんを食べる時は大体お母さんと二人だ。 「いただきます」 朝食はごはんにお味噌汁、鮭の切り身と卵焼きの、基本的に和食。大好きなのに今日は朝の予定のせいで憂鬱さのほうが勝っている。 「ごちそうさまー。よし、作ろっと」 きれいに平らげたお皿をキッチンのシンクに置きさっさと洗う。 それから冷蔵庫を開けて、昨夜用意していた私専用の食材を取り出した。 不格好な卵焼きを作り、準備していたミニハンバーグを焼いた。 ピンク色の小さなお弁当箱の左側にごはんを詰める。右側には卵焼き、ミニハンバーグにちくわにチーズを入れたもの。それから昨日の夕飯の残りのきんぴらごぼうと筑前煮をちょこっと詰めた。あとはミニトマトとブロッコリーで彩りを加える。 「……よし」 今日のお弁当が完成だ。高校に入ってから毎日作っているわりにはあまり成長を感じられず、最近悩んでいる。もっと早く起きてレパートリーを増やせばいいのだろうけれど、やりたいことがありすぎて時間が足りない。
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