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放課後になると龍くんはすぐに教室を出る。美玲はまだ落ち込んでいるみたいでなかなかイスから立ち上がろうとしなかった。
「美玲、大丈夫? どこか遊びに行く?」
「……ううん。今日は帰る。ありがとね」
「……そっか、わかった」
あまりしつこく誘うのも迷惑だし、一人になりたいことだってあるのだろう。私は彼氏もいないし気持ちをわかってあげられないかもしれないし。
のろのろと立ち上がって教室を出ていく美玲を見送り、ため息を吐いた。
彼氏ができたからといって、ずっと幸せなわけじゃない。
悩みはきっと尽きないんだろう。
それでも、羨ましいとは思ってしまう。
昼休みの龍くんとのことを思い出して、胸がきゅうと苦しくなる。
さっきどうしてあんなことを言ったんだろう。
どうしてあんなことをしたんだろう。
本当にからかっただけ?
そんなことばかりが頭の中でぐるぐるとまわっている。考えているだけで眩暈がしそうだった。
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