07.嵐の夜

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「な、なんでもないから! これからファミレスに行くだけ」 「……ごめん。今日は帰る」 新田くんは急に視線を落とす。先ほどの明るさが、またなくなってしまった。 「え? 新田くん大丈夫?」 「うん。ごめん宇佐美」 彼はそのまま私たちに背を向けて行ってしまった。龍くんを彼氏だと思っているから、気を遣ってくれたのかもしれない。 「……新田くん、なんだったんだろ」 「どうかしたのか?」 「ううん。なんかいつもより必死だったから。美玲のことで何かあったのかな……」 「……なんでそこに菅原が出てくるんだ?」 「え? あ、ううん。なんでもない」 新田くんが美玲を好きなことは、人に話すようなことじゃない。龍くんが誰かに話すとは思えないけれど、相談に乗っている身としては秘密にしてあげたい。 「俺、邪魔だったか?」 「新田くんとは今度話すから大丈夫だよ」 ちょっと気になるけれど、しかたない。 「……そっか」 「それより、用があったんじゃないの?」 「いや。あー……俺は今日も夕飯いらないっておばさんに言っておいてくれるか?」 「わかった」 今日も帰りが遅いんだ。結局夜遊びは続けてるんだなあと悲しくなる。 「雨強くなるらしいから気を付けて帰れよ」 「……うん、ありがとう。龍くんもね」 彼は傘を持たないまま、走って行ってしまった。
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