07.嵐の夜

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「龍くん、あったかいね」 「……今日は、変な匂いしないよな?」 私は龍くんの胸に寄り添い、匂いを嗅いだ。甘い匂いも苦い匂いもしない、ボディーソープの匂いだった。 「……うん。しないよ。いい匂い」 そう言うと、彼の手が背中に回り、私を引き寄せる。今日は私も、龍くんの身体に抱き着いていた。 時折、外からは雷の音が聞こえる。でもさっきよりも遠くにいっているからか、龍くんがいてくれるからか、もう怖くない。 「……あんまり密着するとやばいかも」 「やばいって、何が?」 「……襲いたくなる」 「え」 一瞬身体を離して彼を見上げる。すると私を見る龍くんと目が合い、ドキッとした。龍くんの目がなんだかいつもと違っている。熱のこもった、鋭い視線。 「……冗談だよ」 「だ、だよね」 ほっとしたけれど、なんとなく彼の身体から手を離した。 「……いや、でも……キスしたい」 「え、ええっ!?」 「だめか?」 「だ、だめだよそんなの!」 恋人同士でもないのに。彼氏のいたことがない私はキスも当然したことがない。
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