10人が本棚に入れています
本棚に追加
/119ページ
「龍くん、あったかいね」
「……今日は、変な匂いしないよな?」
私は龍くんの胸に寄り添い、匂いを嗅いだ。甘い匂いも苦い匂いもしない、ボディーソープの匂いだった。
「……うん。しないよ。いい匂い」
そう言うと、彼の手が背中に回り、私を引き寄せる。今日は私も、龍くんの身体に抱き着いていた。
時折、外からは雷の音が聞こえる。でもさっきよりも遠くにいっているからか、龍くんがいてくれるからか、もう怖くない。
「……あんまり密着するとやばいかも」
「やばいって、何が?」
「……襲いたくなる」
「え」
一瞬身体を離して彼を見上げる。すると私を見る龍くんと目が合い、ドキッとした。龍くんの目がなんだかいつもと違っている。熱のこもった、鋭い視線。
「……冗談だよ」
「だ、だよね」
ほっとしたけれど、なんとなく彼の身体から手を離した。
「……いや、でも……キスしたい」
「え、ええっ!?」
「だめか?」
「だ、だめだよそんなの!」
恋人同士でもないのに。彼氏のいたことがない私はキスも当然したことがない。
最初のコメントを投稿しよう!