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「いただきます」
お母さんの言っていたとおり、豪華な朝食だった。
ホテルの朝食のような、洋食メニュー。スーパーには売ってないような本格的なクロワッサンや白いパンがカゴに入っていて、ジャムやマーガリンが何種類も並べられている。メインはベーコンウインナーエッグ。あとはコーンスープにシーザーサラダ。いつもの朝食はごはんが多いので、新鮮だし、おいしい。
「おいしい~! たまには洋食の朝ごはんもいいね」
私が言うと、龍くんは何度もうなずき、手と口は動かし続けている。やっぱり、龍くんがおいしそうに何かを食べている顔は好きだし、ずっと見ていられる。
でも両親がいる手前龍くんをじっと見ているわけにはいかないので、チラっと見る程度。
龍くんがじっと私を見ていた。
「な、なに?」
「春菜、ジャムついてる」
「え? どこ?」
子どもみたいで恥ずかしい。口元に手を当て拭うも、自分の顔が見えないからどこについているかもわからない。
「ここ」
すると龍くんの指が伸びてきて、私の唇の横を撫でる。彼の指先には、赤いいちごジャムが残っていた。
「あ、ありがと……」
龍くんはそのまま指を、自分の口元へ運ぶ。まさか、と思った時にはその指を舐めてしまった。
「ちょ、ちょっと!」
「ん?」
私が慌てても龍くんは平然としている。別にキスをしたわけでもないけれど、間接キスみたいで、私には刺激が強すぎる。
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